支払金額は破産手続よりも多い
小規模個人再生手続きには最低弁済基準額というものが設定されています。
最低弁済基準額というのは「再生手続を利用する以上は、これだけの支払いはしてください」という金額で、債権調査手続きによって確定した無担保債権の総額(再生債権)を基準に算出されます。
最低弁済基準額の計算
債権額 | 計画弁済額 | 支払い予定額(3年の場合) |
100万円未満 | 債権額 | 債権額÷36 |
100万円以上500万円未満 | 100万円 | 27,777円 |
600万円 | 120万円 | 33,333円 |
800万円 | 160万円 | 44,444円 |
1000万円 | 200万円 | 55,555円 |
1200万円 | 240万円 | 66,666円 |
1400万円 | 280万円 | 77,777円 |
1500万円以上3000万円以下 | 300万円 | 83,333円 |
3200万円 | 320万円 | 88,888円 |
3400万円 | 340万円 | 94,444円 |
3600万円 | 360万円 | 100,000円 |
3800万円 | 380万円 | 105,555円 |
4000万円 | 400万円 | 111,111円 |
4200万円 | 420万円 | 116,666円 |
4400万円 | 440万円 | 122,222円 |
4600万円 | 460万円 | 127,777円 |
4800万円 | 480万円 | 133,333円 |
5000万円 | 500万円 | 138,888円 |
清算価値保障の原則という制限
この最低弁済基準によって必ず弁済額が決まる訳ではありません。再生計画で弁済額を決めるには清算価値保障の原則に反してはならないという制限があるからです。
清算価値保障の原則とは再生計画の弁済額は、破産手続で支払われる配当額以上を支払わなければならない」ということです。破産手続は「借金の支払いをしないで借金を解決する方法」ですが破産手続でも一定の資産がある場合は換価され債権者に配当されます。
ところが再生手続は破産手続と異なり資産を手元に置くことが認められています。にもかかわらず再生計画が認可されれば債権者は返済を受ける権利を強制的に放棄されることになるので最低弁済基準額だけで支払額を決めてしまうと債権者にとって不利になってしまうので、それを防止するために清算価値保障の原則も設けられているのです。